こどもの貧困、対策から解消へ 法改正を求め、しんぐるまざあず・ふぉーらむも提言

困窮する子ども・若者支援に取り組む5団体が5月7日、東京都内で緊急集会「今国会で子どもの貧困対策法の改正を!」を開きました。しんぐるまざあず・ふぉーらむも5団体の一つです。

超党派の議員でつくる「子どもの貧困対策推進議員連盟」が共催し、「子どもの貧困対策推進法」の名称を「こどもの貧困解消法」に改め、貧困解消に向けより具体的な措置を取る必要があることを確認しました。

公益財団法人「あすのば」の小河光治理事は「法律の名称が変わるということは社会にとって大きなインパクトがある。声を出すことができない子どもたちにとって大きな光になる」と挨拶しました。

超党派で作る子どもの貧困対策推進議連の会長、田村憲久衆院議員(自民)は「一番の目玉は法律自体の名前を変えようということだ。子どもの貧困の『解消』と言う言葉が入り、より法律の目的が明確になった。今国会中になんとか法律を制定したいと思っている」と述べました。

法案では、解消されるべき貧困の状態を「こどもとその家族が衣食住に困るなどの生活困窮、十分な医療が受けられないこと、適切な養育や教育が受けられないこと、多様な体験の機会の剥奪、夢や希望を持つことができないこと、権利利益の侵害、社会的孤立」と具体的に列挙。また「貧困が家族の自己責任ではない」ことも明記しました。

日本大学の末冨芳教授は「貧困は低賃金が低所得を生むという構造的な問題。その構造を変えられないのであれば、公的な補助をいれていくしかない。根拠になるのは、憲法第25条に定める生存権、子ども自身の生存権の保障です」と話します。

改正法には、内閣府の「こどもの貧困対策会議」の再設置を盛り込み、貧困解消に向けた政策の優先順位を上げていくことも目指しています。

さらに、「妊娠期から若者までの切れ目のない支援」、「災害や感染症の大規模流行、物価高騰や社会情勢の急変等の緊急時に包括的かつ早期の視線施策を取ること」も求めています。

法改正を提案した各団体の代表がフリップを手に「法改正に期待すること」を順次、述べました。

しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子理事長は「第1子からの児童扶養手当の拡充を」というフリップを掲げ、訴えました。

「みなさんにお伝えしたいのは、この10年間でまがりなりにもひとり親の支援は拡充してきました。本当にありがとうございます。

児童扶養手当の第2子、第3子の拡充、あるいは支給が年3回から6回になったんですね。それでコロナを何とか乗り切れたわけです。

それから寡婦控除がひとり親控除になりました。これは子どもの貧困対策法ができた成果だったんです。

しかしコロナ後、私たちの食料調査で、この春、お米が買えなかったことが「よくあった」「ときどきあった」という方が65%いるんです。3年前には40%だったんです。コロナ期の方がまだましだったんです。さらに悪くなっているんです。

この状況を変えるためには、もう児童扶養手当を第1子から拡充していただきたい。何度も児童扶養手当のことを言ってるよね、赤石さんは、と言われるかもしれないけれど、ここが基本の経済支援です。子どもの貧困解消法が出来るときには、是非ここをお願いしたいということで、今国会での法改正を宜しくお願いします。」

こども家庭庁の野村知司官房長官審議官は「子どもの貧困問題にシグナルを出していただいて感謝します。一瀉千里で解決するということはありませんが、何もしないというわけにはいかない。ご意見を参考に対策を積み重ねていきます」と話しました。

こどもの貧困対策法が超党派の議員立法で2013年に成立してから10年が過ぎました。

2023年4月のこども家庭庁発足により、それまで個別に話し合われていた、子どもの貧困対策や子ども・若者育成支援が、包括的なこども大綱、こども基本法に集約されました。「こども未来戦略」では少子化対策に重きを置いた政策が目立ち、子どもの貧困対策の影が薄くなったという指摘が国会議員からも出ています。