「夏休みに痩せてしまった」 低所得世帯の子どもたちに一刻も早い給付金を
子どもの貧困対策に取り組む4団体が10日、厚生労働省で記者会見を開き、「低所得世帯の子どもたち1人あたり5万円」の給付金を一刻も早く実現するよう訴えました。
4団体はNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ、公益財団法人あすのば、認定NPO法人キッズドア、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンです。4団体は8月から超党派の国会議員でつくる「子どもの貧困対策推進議員連盟」とともに給付金の実施を求めてきましたが、石破首相の退陣表明、自民党総裁選などで政治空白が長引き、実現していません。
要望書では「児童扶養手当受給者等」「住民税均等割が非課税の子育て世帯」で、18歳に達する日以後最初の3月31日までにある子ども(障害のある子どもの場合は20歳未満)に対し、1人一律5万円を支給することを求めています。事業費総額は1551億円と見込み、予備費を充て、コロナ禍で実施した「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」のスキームを使う、としています。
夏休み中の子どもの体調に異変 約半数
会見ではキッズドアが、同団体のファミリーサポート登録世帯を対象にした「夏休み後アンケートレポート」(回答数1716件)を紹介。
「夏休み期間中、経済的な理由で子どもの食事や回数を減らすことがあったか」については、6割弱が「あった」、「夏休み期間中、子どもの体調や様子に気になるところはあったか」には約半数が「あった」と回答。「イライラするなど精神的に不安定になった」26%、「熱中症や夏バテになった」25%、「夏休み明けに学校の行き渋りがあった」18%、「体重が減った」11%。
渡辺由美子理事長は「食事が満足に摂れないことで、体重が減ってしまう子や学校への行き渋りが生じていることは非常に深刻だ」と話しました。夏休み中に増えた生活費を借金で補った人も27%にのぼっています。

子どもの貧困にインフレ対応がなされていない
しんぐるまざあず・ふぉーらむの小森雅子理事長は「日本のシングルマザーの就業率は非常に高いが、非正規労働が多く、収入が低い。働いて働いて、メンタルを病んで初めて子どもと家に居られるという悲しい状況がある」と述べました。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン国内事業部の鳥塚早葵さんも「物価高騰が長引き、子どもが健康に成長する権利を国が奪っている状態。冬休みに夏休みと同じつらさを味わわせないためにも公的支援の拡充を」と訴えました。
会見には子どもの権利に詳しい日本大学の末冨芳教授も同席。「こども家庭庁の委託調査でも、栄養バランスのとれた食事、米、服、本が買えないというひとり親世帯が高い比率にのぼっている。子どもの貧困にインフレ対応がなされていない」と指摘しました。
その上で「子ども1人一律5万円の給付」について「子どもたちがお腹を空かせない、冷暖房がつけられる」という当たり前の生活の実現に緊急に必要だ、と位置づけています。
4団体は10日夕、藤原朋子こども家庭庁長官官房長に、要望書を手渡しました。
