JSPFが「ひとり親家庭日常生活支援事業」を調査 自治体により大きな差

ひとり親家庭サポート団体全国協議会(JSPF)は、今年度の調査・政策提言活動として「ひとり親家庭日常生活支援事業」を取り上げました。調査にご協力いただいたこども福祉研究所代表で、東洋大の森田明美・名誉教授とともに9月8日の全国大会で結果を発表しました。

この事業は「ひとり親家庭及び寡婦が、安心してこそ子育てをしながら生活することができる環境を整備するため、生活援助や保育等のサービスが必要なときに家庭生活支援員を派遣する」という制度です。

調査は①自治体調査(21自治体)②自治体の委託を受けて家庭生活支援員を派遣する事業者調査(11事業者)③ひとり親家庭当事者調査(1576人)④こども家庭庁調査——と段階を踏んで、2024年3月から8月にかけて、行いました。

自治体調査では、「日常生活を営むのに、特に大きな支障が生じている家庭」を「(親の病気など)特別な課題の短期間」と判断している自治体が多いことが判りました。実際には、帰宅時間が遅くなるなどの場合に定期的に利用することが可能です。制度がない自治体もありました。

支援内容には「生活援助」と「保育サービスと附帯する便宜」の2種類がありますが、事業所調査で、両方のサービスを提供していない事業者が多いことがわかりました。また家庭支援員の要件が自治体、事業者によりまちまちであることもわかりました。

2022年に支援を受けた実件数は2371件で、児童扶養手当受給者のわずか0.29%に過ぎません。

当事者調査では、「日常生活支援事業を知らなかった」が64%にのぼりました。

利用したことがある人は全回答者の7%ですが、利用した人の88%が「役に立った」と回答し、一度利用した人は頻回の利用につながっていました。

また、9割のひとり親に、家事や子育ての手助けがなくて困った経験がありました。

調査を通して

・自治体から、ひとり親への利用啓発広報、周知が不足している。申請方法が煩雑。

・事業者がひとり親家庭の実態や必要な支援について情報提供を受けていない

・支援員の不足や待遇改善

などの課題が浮き彫りになりました。

JSPFでは、今後、国と自治体に、この事業の意義や当事者のニーズを把握して困りごとに対処していく意欲を持てるよう、調査結果や事例紹介を通して制度の改善を求めていきます。