職員研修「傾聴講座」「メンタルヘルス研修」を開きました

職員のスキルアップとストレスの軽減を目指して、東京・飯田橋の東京しごとセミナーで「傾聴講座」と「メンタルヘルス研修」を開きました。

講師はいずれも公認心理師でシニア産業カウンセラーの安藤敦子さんです。

●聴くスキルアップ講座(傾聴講座)

「聴くスキルアップ講座(傾聴講座)」は2月28日に開催。相談員やひとり親当事者とかかわる仕事をする職員が対象です。

安藤さんは、相談支援の現場で必要なこととして、「当事者の生活等の課題・問題を全体的に捉える視点を持つ」「自分の役割をその立場の範囲の中で果たす」の二つを挙げました。

前者には「安心して話していただける聴き方」、後者には「援助の優先順位を考える」「次の支援につなぐ」が必要になります。

「安心して話していただける聴き方」の条件は三つあります。

①共感的理解:相手の話を相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら聴く。
②無条件の肯定的関心:相手の話を評価を入れずに聴く。否定せず、背景に肯定的な関心をもって聴く。
③自己一致:聴き手が相手にも自分にも真摯な態度で、話が分かりにくいときはわかりにくいと伝え、真意を確認する。

また、「援助の優先順位」を考えるにあたっては、生理的欲求⇒安全欲求⇒社会的欲求⇒承認欲求⇒自己実現欲求の順に従い、まず「衣食住」を満たすことを考える、としました。

そして「次の支援につなぐ」ためには、問題の把握、内容の緊急度、当事者が持っている資源、他職種連携や地域連携への目配りが必要です。つらい心情を強く訴える方には、わかったふりをせず傾聴の姿勢をくずさないことが大切だそうです。

●メンタルヘルス研修

「メンタルヘルス研修」は3月3日、全職員を対象に開かれました。

ストレスに気づくには「心のサイン」と「身体のサイン」に耳を傾けることが大事だといいます。

心のサインは「何をするのもおっくう」「みんな嫌い」「集中できない」「判断できない」など。

身体のサインは「眠りが浅い」「身体が重い」「食欲がない」「便通の異常」など。言語化したり、自覚されていないことが多く、安藤さんがカウンセリングの現場で聴いた訴えを図にしたものを見て、始めてストレスに気づく人も少なくないということです。

出来事は、それ単体ではストレスになりません。ストレスと受け止めてしまう自分の「とらえ方のくせ」が、ストレス反応を引き起こす一因となります。

ワークでは「とらえ方のくせ」を10項目挙げ、自分にあてはまるものをチェックし、グループで話し合いました。その後、「とらえ方のくせ」から解放される考え方・聴き方を学びました。

自分に「安心・安全」を伝えることがカギになるそうです。「今」「ここ」に集中し、マインドフルな状態をつくること。そうすることで、日々のくらしの中の小さな喜びを見過ごさないようになります。また、吸って、倍の速度で吐く呼吸法や、折り紙に集中することも心を静めるのに効果的です。

最後に元気がなさそうな犬の写真に「優しい言葉」をかけるワークに取り組みました。

自分が考えた言葉は自分が言われたい言葉。そう考えて自分をいたわるきっかけにするとよいそうです。

職員が自分の心の状態に向き合い、ストレスの少ない形で、相談や支援に取り組むきっかけをいただきました。
安藤先生、ありがとうございました。