6月24日、2022年度活動報告会「ひとり親と子どもの幸せに向けて、つながろう!」を開きました

認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の2022年度の活動報告会が6月24日、東京・四ツ谷の主婦会館で開かれました。会場とオンラインのハイブリッド形式で行い、約70人の参加がありました。

冒頭、赤石千衣子理事長は「コロナ感染の長期化に加え、ウクライナの戦争、物価の高騰もあり、ひとり親家庭の親子の状況は厳しさが続きました」とあいさつ。

災害時にひとり親を含む、社会的に脆弱な人々には影響が最初に現れ、長く続くと言われているとし、「アフターコロナで経済の復調が進んでいますが、ひとり親家庭ではまだまだ食事を減らし、苦しい生活をしている親子がいます。ひとり親を支援し、勇気づけ、その先に進めるように、またそれを社会に発信することを続けていきたいと思います」と述べました。

続いて小森雅子理事が、対象を拡充した食糧支援や新入学お祝い金事業、件数が高止まりしている相談事業について説明。2022年度に新たに取り組んだ就労支援事業『きらりチャレンジ』と『すてき未来塾』について概要を話しました。

中間支援NPOとして他団体を支援する『だいじょうぶだよ基金』や、加盟団体が35に増えた「シングルマザーサポート団体全国協議会」についても、パワーポイントを使って報告しました。

協力連携企業からもご発言いただきました。『すてきみらい塾』に就労先の一つとしてご協力いただき、今年度も『ひろがれ未来塾』でお世話になっているトランスコスモス株式会社の的場章子さんはオンラインでのご参加。また、大和証券の黒須仁美さんも、ひとり親の親子をキッザニアに招待するなどの取り組みについて動画でご紹介いただきました。

第2部では、ひとり親や子どもの貧困について制度や社会構造から分析している千葉大学教授の大石亜希子さんから、しんぐるまざあず・ふぉーらむの活動にコメントをいただきました。「コロナ禍でひとり親が厳しい状況の中でがんばっていることが、わかった。でも食料支援が必要な社会の在り方には疑問を感じ、改善を目指さなくては、と思いました」

日本では、毎年20万人弱の子どもが親の離婚を経験し、その割合は18歳未満の約1割にのぼります。大石さんは「子どもの育ちに、ひとり親であること自体の影響は少ない。重要なのは所得、貧困の問題です」と話し、シングルマザーの貧困の解消には「養育費徴収システムの確立」「児童扶養手当制度の見直し」「学校にまつわる諸費用・給食費等の軽減」などの政策が有効だと指摘しました。

赤石理事長が「ひとり親支援でNPOの役割は何だと思いますか?」と質問すると、大石さんは「一人じゃない、とつながる役割でしょうか」と回答。公的な就労支援と違い、NPOは就労形態や柔軟性を持った働き方などきめ細かいところに手が届く、と評価しました。

また、「所得が増えれば解決する問題が多いので、それを追求する声を当事者が上げる。子どもにつけるお金を増やしてほしいと要求することが大事です」とも話しました。

最後に赤石理事長は「ひとり親支援のミッションが拡大し、期待値も上がっているが、私たちの事業が拡大するより、ひとり親と子の状況が良くなるのが願いです」と締めくくりました。

サポーターのみなさん。今年度も引き続き、ご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。