【1周年記念報告会】2.コロナに苦しむひとり親家庭支援の現状「フードパントリーや子どもの居場所づくり」太陽の家(三重県)/対馬あさみさん
「フードパントリーや子どもの居場所づくり」
太陽の家(三重県)/対馬あさみさん
私たちは「きみを、あなたを、ひとりにしない」という合言葉で、三重県桑名市で子どもと家族の支援をしている団体です。
主な活動は子ども食堂をはじめとする子どもの居場所づくり、シングルマザー支援のための子ども食堂、相談会、日用品や食料を届けるフードバンクなど、食と居場所を中心とした支援を実施しています。
この3月で突然の休校要請のニュースが入った途端、つながっていたシングルマザーたちからは次々と不安の声が寄せられました。
「学校が休みになる」「子どもを預けるところがない」「仕事に行けなくなる」「留守番をしたことがない子どもを1人で置いて行かなきゃいけない」
「会社に来ないでいいと言われた」「給食もなくなる、私たちはどうしたらいいの・・・」
そんな不安の声が次々と届く中、「これは普通じゃないことが起きている。今の子育て家庭の声を聴かないと!自分たちにできる事をやらなくては!」と急遽子育て家庭に向けてアンケートをとり、今どんな困難に見舞われているか、何が必要かを聞くと同時に、フードパントリーをやることを決め市民に呼びかけ、食品を集めに走りました。
私たちは5年前の設立当初から個別家庭への食料支援や子ども食堂など、食の支援をしています。フードパントリー(食品配布会)も行っていたためノウハウやつながりがあり、即座に食品を集めて渡すことができました。
これにより先の見えない不安を抱えるシングルマザーたちに、今すぐまずは安心を届けることができたと思います。
パントリーをやるたびに、食品が必要な家庭が増え続け、食品がなくなりかけたこともありますが、必死で補助金を取り続け、子ども食堂の中間支援団体や企業様、市民の皆様からたくさんの食品の寄付があったこと、三重県内各地の子ども食堂にフードパントリーのノウハウを伝え、食品を渡して続々とフードパントリーを実施してくれたことなどから、3月から5月までの3カ月間で約1260世帯、およそ3200人の親子に食品を届けることができました。
桑名市との連携でお惣菜を届ける活動やパントリーの会場に市の自立支援員や社協の生活相談員にきてもらい、その場で相談に入ってもらうことにより、今まで行政の支援につながっていなかった家庭や役所の窓口に行くのを嫌がっていた家庭にも必要な支援をつなぐことができました。
一時だけの支援ではなく今後もつながり続けていくために、シングルマザーのLINEの公式グループを作り、気軽に相談できるようにしました。
コロナ前からもともと余裕のない家庭で暮らしていて、困難を抱えていて孤立しがちで相談相手がいないシングルマザーがとても多く、自己責任だからとギリギリまで堪えてしまう、我慢するのが普通になっていて、追い詰められても自分からSOSを出すことができない人がとても多いんですね。そういう家庭が打撃を受けて、本当に厳しい状況になっています。
そういう方ほど情報が届かない。
必要な家庭に必要な情報や支援を届けるためには、行政や学童、他の団体などありとあらゆるところとつながって、様々な場所から様々なやり方で支援を届ける必要があると思っています。
そのためにも、まずは支援団体同士がつながることが大切です。
そしてこの困難な状況を少しでもたくさんの人に知ってもらい、理解してもらい、動いてもらう、それが社会を変えていく力になるかもしれない、という思いで新聞やTVの取材もなるべく受けるようにしていました。
これまで少ない貯蓄を切り崩して、やりくりしながら何とか堪えてきた家庭が、いよいよ持ち答えられなくなってきています。
私たちの所へも遠方から必死で支援を探してたどり着き、「食べるものがない!子どもたちに食べさせたい!」と訴える相談が続いています。
もうすぐ夏休みも始まり、また給食がない日が続きます。まだまだ食料の支援は続けていく必要があり、そのためにはたくさんの人の協力が必要です。
私たちは全員がボランティアで、本業しながら活動しています。支援を続けていくにはたくさんの方の力を借りて、子どもたちや母親たちの今、そして未来をなんとか少しでも支えていければと思って活動しています。
ありがとうございました。