ひとり親家庭をサポートする全国ネットワーク

【1周年記念報告会】1.2019年度の政策提言についての報告「児童扶養手当制度の窓口ハラスメントについて」しんぐるまざあず・ふぉーらむ関西/山口絹子さん

児童扶養手当制度の窓口ハラスメントについて

しんぐるまざあず・ふぉーらむ関西/山口絹子さん

児童扶養手当制度の改善についてお話します。

児童扶養手当はひとり親のセーフティーネットです。

低所得世帯のひとり親への経済補償で、金額アップと2人目、3人目への増額と4か月に1回から隔月支給が実現し歓迎しておりましたが、さらなる改善を求めています。

児童扶養手当は、年一度、市役所の窓口にいき、次年度も支給してもらうための書類「現況届」を提出しなければなりませんが、この申立書が大変なプライバシーの侵害につながっています。

きっかけは2018年のママの「うちの大阪府のH市、現況届で妊娠のことを書く欄がある」という一言でした。

すぐにH市子ども課に電話して、取り入れた経過や内容の事実確認を行い、今後も制度を継続すると聞いたので、これは重要な人権侵害であると抗議しました。

来年度の状況把握のために、緊急アンケートを実施したところ、「男性との同居の有無を聞く。」「男性と同居した際は手当が受給できなくなるので届けて、と念を押された。」「妊娠や恋人の有無チェック欄があった。」「住所が変わると事実婚が疑われ、気分が悪い。」などの声があがりました。

厚生労働省から全国の自治体に対し「児童扶養手当の事務運営上の留意事項」として、「窓口対応でプライバシーに配慮するように」という内容が出されました。主幹課長会議でも注意喚起がありました。

その後、大阪府にヒアリングし、H市にも出向いてヒアリングを行いました。

新旧の申立書の現物を確認したところ、新しい申立書に事実婚の確認事項はありましたが、妊娠の有無を聞く項目はなく、これで大丈夫だとおもっていました。

しかし、2019年、交際相手についてチャート式で詮索するという書類を提出させている自治体がありました。

・妊娠の有無を聞き、妊娠したら市役所まで届けるようにと注意書きがある

・月2回男性の家に行ったら事実婚扱い

・交際相手との食事回数

・週何回宿泊するか?

といったプライバシー侵害が行われていました。

これを「窓口ハラスメント」と呼んでいます。

受給者からは、「こんな思いをするのは嫌だから受給を辞めた」「窓口での質問が懲罰に感じる」「毎年憂鬱。まるで母子家庭への罰則のようだ」という悲痛な声が届きました。

児童扶養手当は低所得のひとり親の生活保障として支給されるもので、それだけでもスティグマを感じる受給者がいるのに、この窓口ハラスメントは当事者をさらに落とし込み、「もう役所の世話にはならない!」と孤立化し、行政のサポートを拒否し、さらに経済的に親子ともに追い込まれてしまう状況をつくります。

本来の目的である「児童の健やかな成長のため」に制度が改善されることを大きく求めます。

また、未婚の母の申請書にも出生に至った経過の記入など、さらにひどいプライバシー侵害あるので、同様に配慮を求めていきます。