子どもの3人に1人が「1日2食以下」、半数が「夏休みに遊びに連れて行く予定がない」- JSPF 2024夏ひとり親家庭就労生活調査
ひとり親家庭サポート団体全国協議会(JSPF、32団体)が2日、今年の夏休みについてひとり親家庭に調査した結果を記者発表しました。しんぐるまざあず・ふぉーらむも全国協議会の一員で、事務局を担っています。
調査は7月20日〜28日に、メールフォームを送付する形で行い、2111人から回答がありました。
「昨日、末の子どもは何食食べましたか?」と聞いたところ、2食が31.8%、1食が2.2%で、3人に1人が「2食以下」であることがわかりました。
また母子2人世帯で、食費が月2万円未満の「1食100円」の暮らしをしているのは26%。
3人世帯で、食費が月3万円未満は41%でいずれも高い割合になりました。
6月に家族が必要とするお米を買えなかった世帯も4割にのぼりました。
自由記述から引用します。
・夏休み中は朝昼兼用でまとめて食べさせています(北海道、40代、子ども1人、就労収入11万円)
・1日2食しか食べない。夕食は1品しか作れない(千葉県、30代、子ども2人、就労収入なし)
・子どもは2食、私は1食(愛知県、50代、子ども2人、25万円)
・おかゆにしてかさ増ししたり、もやしでかさ増ししたり(東京都、30代、子ども1人、8万円)
・おかゆにして米をあまり使わないようにしている(北海道、40代、子ども2人、14万円)
・麺類を短く切って量が増えたように見せる(岐阜県、30代、子ども4人、10万円)
・コンビニで働いているため廃棄を貰ったりしている(岡山県、30代、子ども2人、21万円)
・会社の給食の残飯をもらって帰ることがある(兵庫県、40代、子ども1人、12万円)
連日の猛暑にもかかわらず、電気代節約のため、エアコン使用を控えたいという回答は約8割にのぼりました。
また水道代・ガス代節約のため、お風呂やシャワーの頻度が「週7日」ではない人が3分の1おり、「週1回」という回答も2.5%ありました。
・エアコンは基本的に我慢。限界になったら水を浴びる(神奈川県、40代、子ども1人、18万円)
・風呂は月2回。髪の毛はベタつきやすいため、頭頂部はあまり触らないようにする(岩手県、30代、子ども1人、就労収入なし)
小中学生の子どもがいる1500世帯を対象に夏休みに子どもを連れて遊びに行くかを聞いたところ、約半数が「遊びに行く予定はない」と回答しました。
・小学校のクラスの友達が家族旅行に行った話などを聞くと羨ましがっているので悲しい(北海道、50代、子ども1人、19万円)
・子どもが友達と遊びに行きたくてもお小遣いをあげられない。どこかに連れて行くお金も時間もない。スポーツを教えてあげられない。焼き肉やお寿司をほぼ食べたことがない。周りの子と同じような思いをさせてあげたいが、できない自分が情けない(北海道、40代、子ども1人、14万円)
・絵日記に書く内容がないと言われて凹む(東京都、30代、子ども3人、就労収入なし)
夏休み、子どもについての気がかり(複数回答)を聞くと、半数以上の親が「弁当を作るのが大変なこと」「熱中症になってしまうこと」「生活時間が乱れてしまうこと」「宿題を見てあげる時間がないこと」「ゲームばかりしていること」を挙げました。一方で、「子どもの体重が減ること」が11.1%いて、給食のない夏休みに、子どもが十分な栄養が取れていない状況が伺えました。
夏休みの長さについては、「今より短い方がいい」42.1%、「夏休みはなくていい」8.7%で、合わせると過半数を占めました。
・夏休みはエアコン代、お昼代と毎回泣きたくなります。子どもが高校生となるとお弁当作成も費用もかかるのに、児童手当もなく、首がまわりません。修学旅行代も出せるか不安で仕方ありません(茨城県、40代、子ども3人、22万円)
・子どもが今年小学生になり、初めての夏休み。昨年と大きく変わったのは毎日児童クラブへお弁当を持たせるようになったことです。前日の夕飯の残りものや冷凍食品のお弁当になりますが、とりあえずフードバンクでいただいたお米を持たせることができています。支援のお米すらなければ、本当に困ってしまうところでした。何もかも値上がりした今、たまごやウインナーですら買うことを躊躇ってしまいます。夏休みの縮小で、1日も早く給食を食べさせて欲しいです(山口県、50代、子ども1人、13万円)
・中学生の子どもに学童に迎えに行ってもらったり、子どもだけで夕食を食べたりしています.ヤングケアラーに子どもは該当するんじゃないか。でもそのために何をしたらいいかわからない(岐阜県、30代、子ども4人、20万円)
母親自身の気持ち・状態(複数回答)を聞きました。「子どものためにがんばろうと思う」と「ときどき気持ちが落ち込んでしまう」が多く、気持ちを立て直そうとしているものの、身体的には限界という訴えも多く見られました。
・子どもには食べさせていますが、私は2日に1回の食事でしのいでいます。これ以上節約する方法がなく、「食べない」一択で1年で10㌔も痩せました(宮崎県、20代、子ども1人、14万円)
・非正規雇用になり給与が10万円減りました。家賃、光熱費を支払うと、給料日に残高は1万円あるかないかです。児童手当、児童扶養手当の支給がない月は、お財布に100円もない状況で、何週間も過ごしています。買い物に行ってもほとんど買えません。毎日お腹はぺこぺこです。どんなに真面目に働いても、生活は楽にはならない(兵庫県、40代、子ども1人、12万円)
実現してほしい政策(複数回答)は、要望が多かった順に「児童扶養手当の増額」「家賃補助」「子どもの無料の学習支援」「児童扶養手当の所得制限を上げること」「夏休みの無料の子どもの遊び支援」「同じ立場の人と話せる機会」「別居中のひとり親家庭への支援」でした。
しんぐるまざあず・ふぉーらむからの提言
調査結果を受け、しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子理事長が提言をまとめました。
・夏休みなどの長期休暇及び気候変動による酷暑を踏まえ、低所得世帯への一時金などの対策を早急に行う必要がある。
・児童扶養手当の拡充が望まれる
・養育費の立替払いなどの制度導入
・所得制限による就労抑制や年収の壁がない制度が望まれる
・離婚前別居中、親族同居、被災の有無などのはざまを解消
・こどもの不登校、発達障害への対応の拡充
・手薄い地方のひとり親家庭支援への目配りが必要
・家賃補助の導入
また野菜が高いので、昨年と比較し家庭菜園で野菜をつくっているという方が少し増えていると感じたと発言しました。
調査結果は新聞やテレビでも報道されました
▼「ひとり親家庭の子、夏休み1日2食以下34% 貧困率高く」日経新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE02E2Y0S4A800C2000000
▼「夏休み34%が1日2食以下 ひとり親家庭の子、貧困で」共同通信
https://news.yahoo.co.jp/articles/bfddf6c2048386bc69c0d3f0ed17ff24ac8325fe
▼「酷暑の夏休み、『1食100円』『エアコン使わない』『絵日記に書くことがない』 シングル家庭の厳しい実態」弁護士ドットコム
https://news.yahoo.co.jp/articles/78647b85387966d1835337b31ce786c893e8bacb
▼「『夏休み短くして』経済的に困窮するひとり親家庭の半数」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/article/2024080204
▼「ひとり親家庭3人に1人が、『1日2食』、小中学生の子どもの親、『夏休みに遊びに連れて行く予定がない』が約半数」(TBS)