「ひろがれ未来塾」修了式〜27人が講座から巣立ちました

しんぐるまざあず・ふぉーらむの就労支援事業「ひろがれ未来塾」の修了式が11月3日、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれました。約5ヶ月半にわたる全課程が終了し、27人の受講生がこの日、講座から巣立ちました。

最終講座「セルフコーチング・内省について」

修了式には16人が出席しました。最初に株式会社スリーアウル代表取締役でビジネスコーチの蒲生智会先生による最終講座「セルフコーチング・内省について」がありました。

蒲生先生にはこれまでの講座の中で、自分の強みを見つける履歴書の書き方などを教わってきましたが、今回は、自分で自分に声をかける、自分と対話する「セルフコーチング」の方法を教わりました。

ステップ1は「人生のゴールを設定する」です。受講生は自分の人生で最も手に入れたいものを紙に書き出し、2人1組でシェアしました。「お金」「自由」「時間」「健康」など多くの人が書いていた言葉に加え、「世界平和」などの言葉もありました。

「なぜ私にとって、それが大事なのか」を語り合う表情は、真剣そのもの。次第に笑顔も増えていきました。

蒲生先生は「みなさんが話している時の表情が明るく輝いています。自分の願いや欲求を自分の意識にしっかり刻み、まっすぐにその願いを認めることが大事です」と話しました。

自分に語りかける時、「イメージ」「言葉」「感情」の3要素を使い、対話のポイントは①一人称で、②肯定的なものだけ、③現在進行形の内容、④感情を表現する——の4点に置くと良いそうです。蒲生先生は毎日3分間、今日の経験を振り返り、内省する時間を持つことを習慣化することを勧めました。こうすることで、前向きに過去の自分を手放し、マインドセットやアップデートの意識が持てるようになると言います。

最後に蒲生先生はこんな言葉で講座を締めくくりました。

「1億2500万人の中でこうして出会えたご縁はこれからも大事に続けていきましょう。これからも助けてと言える力を発揮し、ともに頑張って行きましょうね」

修了式

後半は修了式です。赤石千衣子理事長から一人一人に、修了証が手渡されました。
エクセルやワードなどのパソコン技能検定MOS試験は19人が受験し、8割にあたる16人が合格するなど、受講生は短期集中で驚くほどの成果を上げました。メンターによる面談に励まされ、受講生同士がわからないところを教え合い、モチベーションを高めてきました。すでに3人の就職が決まり、他の人たちも求職活動や勉強を続けるそうです。

受講生を代表して2人が挨拶しました。

●自己PRが書けなかったが、MOS試験に合格し、履歴書に前向きなアピールを書けるように

Nさんはひろがれ未来塾を受講する前から就職活動をしていました。「自分に自信がなく履歴書に自己PRが書けない、再就職した時にどうなりたいかという目標がないままで臨み、面接に進めなかった」と振り返ります。区のひとり親家庭応援課、ハローワークの担当者と週1回ペースで求人を探す中で、ひろがれ未来塾を知り、参加しました。「受講されているみなさんと出会い、一緒にMOS試験を受けるという目標を持って取り組みました。自宅では週3〜4日、1〜2時間程度学習時間を確保し、模擬試験を繰り返す勉強方法と、自分を変えて自信をつけたいという思いが力となりました」

MOS試験に合格したことで、これまで書けなかった履歴書の自己PR欄にも前向きな文章を書けるようになりました。スキルアップと、相手に寄り添える指導者になりたいという目標もできました。次第に面接の機会が増え、内定につながったといいます。そしてとうとう11月から新しい職場で働くことが決まりました。

「今回多くの方々に支えていただいたおかげで今の自分があります。本当にありがとうございました。この出会いと感謝を忘れず、一歩を踏み出した今の気持ちを力にして、無理をしないで楽しく明るく笑顔が多い人生になれるようにしたいと思います」

私はひとりじゃない!応援してくれる人がいることで頑張れた

Sさんは「あっという間のひろがれ未来塾でした。短い間にたくさんの学びがありました」と話し始めました。講座の内容にはポジティブな言葉、笑顔、傾聴、自分と向き合うことといった生きていく姿勢に加え、ビジネススキルやライフプランなどの実践的な事柄も入っていました。特に瀧川仁子先生のパソコンスキル講座には学ぶものが多かったそうです。

期間中、最も大変だったのは、感染症で体調を崩したこと。「家族も順番にかかり、パソコンを開くどころか食事の支度さえままならず、気持ちもすっかり落ち込みました。いつの間にか私の頭の中はネガティブな言葉であふれていました」。そんな時、メンターと話す機会があり、再び学びを進めるきっかけをつかむことができました。赤石理事長や担当職員からも励まされ、「私は一人じゃない。いつも応援してくれる人がいる。がんばっているのは私だけじゃない」と前に進むことができたそうです。

「きっと一人だったら最後までがんばれなかったかもしれません。私にはあきらめたり、言い訳をしたりする理由はたくさん作れたと思います。しかし、このひろがれ未来塾ではそんなことを考える暇もなく、今日この日を迎えることができました」

そして最後にこんな希望を述べました。

「今は支援してもらうことが多い私ですが、この経験を糧にいつか私も誰かを支援することができる、そんな人になりたいと思っています」

コールセンター研修を提供してくださったトランスコスモス株式会社エンゲージメント推進課課長の的場章子さんからは「しんぐるまざあず・ふぉーらむの就労支援事業のみなさんの評判は高いです」とのお言葉をいただきました。研修で積極的に発言したり、アドバイスをすぐに取り入れたり、前向きに取り組む姿勢が良かったといいます。

「出会いを宝物として、これからの支えにしてください。同じような状況や経験を経た人と話しができるだけで心強いという人もいました。みなさんの広がっていく未来をお祈り申し上げます」

IT系事務人材のご紹介をいただいたスタッフサービスからは、受講生にパソコンの進呈を受けました。同社からも修了式にメッセージが寄せられました。

「就労支援事業での学びが終わり、実際の業務でスキルを活用・磨き込みを行っていくことがこれからは必要になってくると思います。(中略)スキルのアップデートや転職を通じて、皆さまやお子様の選択肢が増える未来を心より祈っております」

最後に赤石理事長から祝辞が贈られました。
「みなさん、励まし合って学んで行かれましたね。受講生から何人もミニ先生が出てきて嬉しかったなあ。タイピング練習もみんなでがんばられました。でも、他の人と比べなくていいですよ。自分のペースで前に向かって行きましょう。みなさんの今日の表情をみていて、キレイになられたなあと思います。変化に立ち会わせていただけたこと、とても嬉しく思っています」

そして、「みなさんも、勇気をもって立ち向かうことで得られることの方が多いかもしれないと思えた時に、一歩が踏み出せるかなと思います」と話しました。講師の方から寄せられた「人生の中で失敗や誤りは避けられない。大切なのはそこから学びを得て前に進むこと」というメッセージを読み上げ、「これからも大変なことがあるかもしれない。でも、ひろがれ未来塾で学んだ糧で、みなさんのこれからの未来をさらに広げていただきたいです」と締めくくりました。

修了式の後はテラスカフェで懇親会がありました。お子さんを連れてこられた方も多く、そのまま親子でランチタイム。受講生同士でライン交換をする姿も見られました。

受講生のみなさん、本当にお疲れさまでした。そして、おめでとうございました。