「お腹を空かせた子どもと親がいない社会に」食料支援3219人の調査結果を報告

「お米を買えないことがあった、よくあったが65%」
「親が朝昼を抜いて高校生の子どもにお弁当を用意している」

今年の食料支援対象者の調査結果は、コロナ後物価高のひとり親世帯の生活の過酷な現実が浮き彫りになりました。

お米が買えないことがあったが65%

現在の暮らし向きについて96%が「苦しい」「やや苦しい」と述べました。

食料を買えなかった体験について聴きました。「よくあった」「ときどきあった」の合計は「米などの主食」が65%、「肉や魚」が85%、「野菜」が78%。

調味料、パンなどの値段が上がり、子どもの体重が減少してしまった」(大阪府、パート、子ども2人)

物価高で普段の半分程しか買えない。子どたちにはまだ給食があるので助かっているが、それに甘えて朝を抜かしたりすることも多い。また野菜や魚、肉など栄養のあるものが高いので栄養状態が心配、保育士にも発育の心配をされ、心苦しい」(神奈川県、正社員、子ども2人)

「お肉や魚など月に一回買うか買わないかで、栄養不足になり週末になると誰かしら体調不良になる」(東京都、パート、子ども2人)

おかずも子ども達の希望には添えないし、子ども達のおやつまでお金が回らないです。先日、子どもが文房具やお菓子を万引きしてしまいました。注意して終わったと思っても、怪しいゴミが隠されている事があります。心配です」(正社員、子ども3人)

子どものものを買えない体験は、「服や靴」が88%、「文具や玩具」が69%にのぼりました。

親が食事を抜くことがあったかでは「よくあった」「ときどきあった」の合計が85%、「医療費や通院を控えた」は53%いました。

「寒さを我慢したり、空腹を我慢したりしています。子どもの部活の専用シューズなどの消耗品が高くて買えないです。ボロボロのシューズを使っています。すべての物を買うのを控えています。食費を減らすしかないです。空腹が一番つらいです。」(新潟県、パート、子ども2人)

「食べ盛りだが、米が足りないため、朝を抜いて昼は給食頼り。お弁当が塩おにぎり1個と具が1品の味噌汁だけなど」(佐賀県、正社員、子ども4人)

「よく、子どもたちにお腹空いたと言われる。とりあえずお米は炊いているからおにぎりを食べさせている」(徳島県、正社員、子ども3人)

水光熱費の滞納も28%

過去6ヶ月間に水光熱費や家賃の滞納を経験したのは28%でした。

滞納があった人の声です。

「水光熱費や物価高騰で支払う金額が高くなり、さらに子どもたちの学校生活にかかる集金代まで上がってしまったため、大きな行事がある月などは特に金額が高く子どもの学校生活を優先するため供給停止ぎりぎりまで支払いを遅らせる状況も……」(神奈川県、パート、子ども3人)

「電気代が高くなり、寒い日が続いた。子どもも気を使って部屋の暖房を付けないで我慢していることがあった」(東京都、自営業、子ども1人)

お風呂は毎日入りません。上の子に(友達は)みんな毎日入ってる!と泣かれましたが、何でも値上がりしているので1日おきで我慢してもらっています」(大阪府、契約社員、子ども3人)

半数以上は他の支援なし

56%がしんぐるまざあず・ふぉーらむ以外の支援とつながっておらず、フードパントリーの利用は19%、子ども食堂の利用は14%にとどまりました。

就業形態によって、生活の困窮度に差がみられました。米が買えない体験があったという回答は、正社員が1割に対し、非正規職は2割、就業していない人は3割。滞納があったという回答は正社員では2割でしたが、非正規職や就業していない人は3割でした。

子どもが3人以上の多子世帯で、お米を買えなかったことが「よくあった」は21.4%で、子どもが2人以下の世帯より3㌽高く、より困難な状況がわかりました。

子どもの体重が減少

自由記述では物価高により、子どもや親の健康にも深刻な影響が出ていることがわかりました。

「調味料、パンなどの値段が上がり、子どもの体重が減少してしまった」(大阪府、パート、子ども2人)

「物価高で普段の半分ほどしか買えない。子どもたちにはまだ給食があるので助かっているが、それに甘えて朝を抜かしたりすることも多い。保育士にも発育の心配をされ、心苦しい」(神奈川県、正社員、子ども2人)

「食べ盛りの高校生男子18歳。すぐにお腹が空くのに、満足なおやつや食事を出せず、成長期に痩せてしまいました。肺に穴の開く『肺気胸』になってしまい、病院の先生に『痩せている男子がなりやすい病気』と伺い、私のせいだと自己嫌悪に陥る辛い時間があります。私自身も昨年末の健康診断で『骨粗しょう症』『貧血』と診断され、70代の骨密度と判明しました。健康の不安があります」(神奈川県、パート、子ども1人)

相対的貧困率は44・5%

コロナ下でひとり親と子どもの困窮についてしんぐるまざあず・ふぉーらむと共同調査をいただいた立教大学コミュニティ福祉学部の湯澤直美教授から、コメントをいただきました。

「国の統計でも、ひとり親世帯の相対的貧困率は44・5%と高い状況にある中で、コロナ禍や物価高を経て、さらに困窮の度合いが高まっているとみられます。

2021年3月のシングルマザーを対象にした全国パネル調査では、「米などの主食を買えないことがあった」世帯の割合は東京で30.6%、東京以外で41.6%でしたが、3年後の今回調査では60%でした。「肉や魚」「野菜」が買えないことがあったもそれぞれ50%前後から85%、78%へと高くなっています。

自衛手段としての節約や貯金の取り崩しも限界に近づき、安定した雇用の確保が急がれますが、母親が大卒でも非正規雇用が6割を占めるという厳しい状況があります」

湯澤教授は、頼みの綱である児童扶養手当の所得制限が、同一生計の祖父母や18歳以上の兄姉の所得もふくめて判断される、という現行の制度の改善を求めました。

また、ひとり親家庭が公的な支援にほとんどつながっていない現状についても統計をもとに紹介し、「民間の食料支援が他の支援につながるきっかけにもなっている」と話しました。

手当が受取れていない人の深刻さ

児童扶養手当の受給状況では全部支給が76%、一部支給が16%。

受給していない8%の人の内訳では、全体と比べ、離婚前別居中が26%、死別が22%と顕著に多くなっています。

祖父母と同居も15%いて、扶養義務者の所得制限により受給できていないケースがあるとみられます。

児童扶養手当を受給していない274人の中に、現在就業していない人も72人いて、厳しい困窮がみられました。

「無職で収入がないにもかかわらず、前年度収入により手当や物価高騰による給付金も一切受けられず、微々たる貯蓄を切り崩して生活しているのに、買い物時の会計をみる度に、もっと節約しないといけないと思う、これ以上子どもに不憫な思いをさせずに、どうせ節約したらいいのかわからなくなる」(東京都・子ども2人)

「ガス代・電気代が滞納で止まって借金して払っています」(福岡県・子ども1人)

しんぐるまざあず・ふぉーらむからの政策提言

赤石千衣子理事長は「アフターコロナと物価高でひとり親と子どもの生活苦は限界を超えて、健康状態が悪化している。子どもの体重が減るというのは異常事態。子どもの学校や日常生活のための服や靴も買えずに困窮している。学校給食頼みの食生活となっており、夏休みや冬休みなど長期休暇の健康影響が心配されます」と述べました。

しんぐるまざあず・ふぉーらむは調査を受け、次のような政策を提言します。

・児童扶養手当の額を第1子から1万円上げてください。
・2024年夏休みの対策のため、物価高に対応した臨時給付金の創設を。
・子どもの貧困対策を優先課題に。
・民間支援も限界。公的な支援の拡充を。
・子どもの不登校も看過できない状況であり、今後の対策を求めます

調査概要

3月2日〜5日、オンラインアンケートの形で4300人に聞き取りをし、そのうち食料支援の対象となった3219人分の回答。食料支援の対象地域である45都府県のすべてから回答がありました。児童扶養手当受給者か同等の収入の世帯が対象です。

ひとり親になった経緯は離婚が83%、未婚・非婚が11%、離婚前別居と死別がそれぞれ3%でした。

現在の仕事はパートアルバイトが50%、契約・派遣社員が12%で非正規が約6割を占めました。正社員は15%、就業していない人は14%でした。

扶養している子どもの数は1人が38%、2人が36%、3人以上の「多子世帯」は26%でした。