ひとり親家庭をサポートする全国ネットワーク

【行動計画】2022年度 要望事項及び行動計画「コロナ禍におけるひとり親家庭の子どものいのちと生活を守ろう」

シングルマザーサポート団体全国協議会は第4回大会において、以下の行動計画を発表します。

2022年7月3日

わたしたちシングルマザーを支援する団体は、協力・連携・発信・政策提言を目的にシングルマザーサポート団体全国協議会を2019年7月に設立しました。設立当時20だった参加団体も現在北海道から沖縄まで全国30の団体が参加しています。

新型コロナウイルスの出現から1年が過ぎ、もともと脆弱なひとり親家庭は一気に困窮しました。国からの手当がない中、全国のひとり親支援団体は最前線に立ち、緊急支援として絶えず食料支援を行いつつ、公的支援拡充の要望しその情報提供を行い、まさにひとり親家庭の命を支え続けています。当全国協議会の必死の政策提言活動と各方面の声で3回の給付がされましたが、コロナ感染拡大は長期化し、ひとり親からのSOSは日に日に増えてきています。2021年春から始まった法制審議会での離婚後の子どもの養育に関する議論にもひとり親と子どもたちの声を反映したいと思います。大会では以下の行動計画を決定し、政策提言をしていきます。

1.児童扶養手当制度等について

・困窮するひとり親世帯の子どもたち一人ひとりの育ちを応援するため、児童扶養手当は子ども1人5万円とするよう拡充すること。

・児童扶養手当制度と年金の子ども加算を子どもが20歳の誕生日までに延長すること。

・児童扶養手当等の手当が無い4月、8月、12月に経済的支援等の対策を講ずること。

・児童扶養手当の全部支給の所得制限を2002年当時の200万円(収入ベース)に上げること、一部支給の所得制限を400万円(収入ベース)とすること

・児童扶養手当の窓口で、事実婚の通知による事実婚の定義を改め、運用を改善し「相談しやすい窓口」をつくり窓口ハラスメントを無くすとともに、郵送・プッシュ型の申請・現況届ができるようにすること。

・児童扶養手当の基準となる所得と扶養親族数を勘案する際、家計急変を認めていくこと。

・児童扶養手当の扶養義務者の所得制限を緩和すること。

・物価高騰や賃上げ等、社会情勢に合わせて児童扶養手当の支給額を見直すこと。

2.別居中の母子に支援施策を求めます

・離婚成立前の別居中の母子世帯の困窮を救うため、児童手当は同居親に給付されるよう、DV被害世帯で住民票を移していない場合にも認めるようにすること。

・別居中など離婚成立前の世帯にも、児童扶養手当や医療費助成が受けられるようにすること。

3.仕事と子育ての両立ができる支援施策を求めます

・親族支援のないひとり親が子育てと仕事が両立しやすくするようひとり親家庭日常生活支援事業の委託先を再考し自治体間の格差を解消し、全国で使える制度にすること。あるいはファミリーサポート事業の減免措置と自治体が選択できるようにすること。

4.生活保護制度の改善をお願いします

・子育て世帯の生活保護受給者の自動車保有については、求職中だけでなく就職後も、通勤・通院・保育園送迎等に必要なため、認めるよう徹底すること。

・生活保護の申請時の扶養照会については廃止すること。

・入学準備金については規定額を一括で支払うこと。

5. 養育費の取り立て、安全な面会交流の施策への改善

・現在法制審議会家族法制部会で検討されている、離婚後等の子どもの養育に関する法制については、ひとり親の声を十分に聴いて法を検討すること。

・養育費の支払確保を進めるため、養育費の取り立てを容易にする方策をさらに検討すること。

・養育費に詳しい弁護士相談を無料で受けられる体制を自治体ごとにつくり、養育費の取り決め支援、不払いの場合の強制執行などの相談支援を拡充すること。

・共同親権選択制や暫定的面会交流命令を導入しないこと

・家庭裁判所の予算を拡充し、個別のDVのアセスメントを丁寧に行い、こどもの調査はまわりの大人に左右されることのない子どもの安心できる環境でていねいに行うようにすること。

・離婚後の共同養育・共同親権制度については、DV被害者を例外措置とするのではなく、すべての離婚ケースにDV被害の可能性があることを踏まえ慎重に検討し、共同養育を認めてきたオーストラリア、イギリス、アメリカなど各国が暴力虐待から子どもを守ることを優先課題にして制度改正をしていることを踏まえた法的な検討を行うこと。

・離婚時の親権決定にフレンドリーペアレントルール(※1)を適用することは、虐待や暴力を訴える側に不利になるため、絶対に導入しないこと。

・面会交流あるいは共同親権の選択を養育費支払取引条件にしないこと。

(※1)他方の親と友好的な関係を築くことができる方の親が親権者にふさわしいとされるもの。

6.就労支援について

・高等職業訓練促進給付金制度の拡充を自治体に周知徹底して利用しやすくすること。

・高校卒業認定資格取得支援については、終了後ではなく利用開始時から給付が行われるようにすること。

・最低賃金は全国一律1500円とすること。

・世帯単位ではなく、個人を単位とする社会保障と年金制度にし、パートの賃金を低く抑制する要因となっている配偶者控除は見直すこと。

・ひとり親家庭の経済的自立に向け、ひとり親のキャリアアップのための支援を拡充すること。

・自治体独自のひとり親就労支援事業を促進すること。

・ひとり親の特定求職者雇用開発助成金の条件を緩和すること。

・職業訓練についてはひとり親が利用しやすいよう、欠席日数による支給停止の要件を緩和すること。

7.教育支援について

 ・就学援助を全国一律の制度に改め、私立小中学校も対象とし、漏れのないよう学校において全員配布方式を徹底するとともに、民生委員の証明書を必要とする運用は廃止するよう指導すること。また入学時の前倒し支給については全自治体で行われるように指導すること。

・コロナなどによる一斉休校の際は、就学援助世帯への給食費の返還あるいは昼食代援助をすること。

・GIGAスクールの運用は、各家庭の経済状況とIT力の格差に配慮した経済援助・技術援助を行える体制をつくること。

・給食費の無償化を進めるとともに中学校の給食未実施地区をなくすこと。

・高校生等就学支援金及び高校生等奨学給付金の支払いは入学時あるいはせめて5月までとすること。

・高等教育の修学支援新制度の給付型奨学金の所得制限額を上げるとともに、在学時の給付制限の要件を緩和すること。

・高校生に就学援助制度を創設すること、またタブレット貸出し時には個人のプライバシーに配慮すること。

・各家庭の経済状況格差に配慮し、制服や学用品の自由化や指定制度の緩和を検討し、準備期間、補助を行うこと。

8.医療費支援について

・福祉医療費の受給の収入基準額を見直し、ひとり親家庭の親子が安心して医療サービスを受けられるようにすること。また、福祉医療費については全ての地域において現物給付とすること。

9.住居支援について

・公営住宅の環境を整備し、入居しやすくすること。また保証人制度については廃止すること。

10.孤立防止について

・地域の社会資源に繋がりにくいひとり親のために、多様な手法により地域を越えたサポートを拡充する。

以上

参加団体(2022年7月3日現在 30団体)

しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道/シングルマザーほっこりサロン(秋田県)/特定非営利活動法人STORIA(宮城県)/特定非営利活動法人せんだいこども食堂/認定特定非営利活動法人インクルいわて/クローバーの会@やまがた/特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福島/NPO法人シングルマザーズシスターフッド(東京都)/よこすかひとり親サポーターズ・ひまわり/立川市ひとり親家庭福祉会 立川みらい(東京都)/認定特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ/石川シングルマザーの会/女性の社会生活活動部 フルード(福井県)/特定非営利活動法人えがおプロジェクト(富山県)/ひとり親Cheers(岐阜県)/シングルペアレント101(静岡県)/特定非営利活動法人 太陽の家(三重県)/シングルマザーとその子どもたちの会~freely~(岐阜県)/認定特定非営利活動法人 女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべ/シングルマザーのつながるネットまえむきIPPO(大阪府)/特定非営利活動法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西/ひとり親パートナーズ(香川県)/認定特定非営利活動法人 ハーモニーネット未来(岡山県)/.Style(ドットスタイル)(山口県)/特定非営利活動法人 こどもステーション(広島県)/あまやどり(愛媛県)/シングルマザー交流会松山(愛媛県)/しんぐるまざあず・ふぉーらむ出雲(島根県)/特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福岡/しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄