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【メディア掲載】10万円給付金が10月以降に離婚したひとり親に届かないことについて、朝日新聞に取り上げられました

「渡すよう頼んで」と言われても…10万円給付は元夫へ 続発の恐れ

(朝日新聞デジタル 2021年12月19日)

https://www.asahi.com/articles/ASPDL6TC6PDJOIPE01B.html


「10万円が振り込まれるのは、9月時点の児童手当の振込口座になります」

 愛知県内のある市に住むひとり親の女性(27)は、市の担当者の説明にいまも納得がいかない。

18歳以下の子どもへの10万円給付を、離婚して1人で子育てしているひとり親が受け取れず、子育てしていない元配偶者に渡ってしまう――。そんな事例が大量に発生しそうです。なぜそうなるのでしょうか。

 18歳以下の子どもへの10万円給付は、中学生以下に対しては児童手当の枠組みを使い、その振込先口座に入金される。

 女性は8月末に離婚し、小学2年と3歳の姉妹を1人で育てている。元夫の口座だった児童手当の振込先を、自分の口座に変えたのは9月半ば。それが適用されたのは10月分の手当からだ。

(中略)

 しかし、内閣府は「すでに児童手当の支払い実績があり、確定している9月分の口座であれば、自治体側で新たな口座のチェックなどが不要になる」と説明している。

 児童手当の受給者からDV(家庭内暴力)を受けて避難している配偶者であれば、例外として口座変更を認めており、10万円も受け取れる。内閣府の担当者は「DV被害者はほぼ全員が支援すべき人たちだが、離婚には様々な事情や背景がある」と言う。

 こうした仕組みに、ひとり親を支援する「シングルペアレント101」(静岡市)の田中志保代表は「子どものためのお金が、養育していない人に振り込まれるなら、何のための給付金か」と疑問視。「遅くなっても、受け取るべき人が受け取るべきだ」と話す。

「一番困っている層に届かない」

 認定NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京都)の赤石千衣子理事長も、迅速な給付をめざしたことは評価しつつ、「一番困っている層に届かないのは問題だ。いまも仕組みを知らないひとり親は、10万円を当てにしている」と指摘する。離婚から間もないほど、住まいや仕事が不安定な可能性も高い。

 赤石さんの試算では、10月以降に離婚したひとり親だけでも約2万人が受け取れない恐れがあるという。

 「子どもを育てるお母さんが受け取れないケースが発生してしまうのではないか」。17日の参院予算委で、与党議員がこの問題への対処を求め、野田聖子地方創生相は「ひとり親などに、地方創生臨時交付金を活用することは可能」と応じた。10万円給付の仕組みは変えず、自治体が交付金で対応することを促した形だ。

 赤石さんは、「自治体は対応するように努力してほしいが、当事者が救済されるかは自治体の意向次第になる。政府としての対策を示してほしい」と話した。