【1周年記念報告会】2.コロナに苦しむひとり親家庭支援の現状「一斉休校で学童保育を運営」えがおプロジェクト/出分玲子さん
一斉休校で学童保育を運営
えがおプロジェクト/出分玲子さん
私は離婚を決意すると同時に、小学校の臨時教員になりました。学級担任をしており、仕事内容は正規の職員と一緒なんですが、待遇が全く違うということで、とても理不尽な思いをたくさんしてきました。
自分のクラスにいた子どもたちですが、ひとり親家庭の子どもたちの中には朝ご飯を食べてこない子、卒業アルバムが買えない子、宿題をしてこない子、虐待を受けている子、そんな子どもたちがいました。
普段からこういう状況のひとり親家庭の子どもたちです。
私は10年前にえがおプロジェクトを立ち上げて、今は3本の柱で活動しています。
子育て支援の中で、休校になってからとても心配なお子さんがいました。
私は数年前から困窮家庭と夜間保育に食料品を届けているんですが、夜間保育に預けられている子どもたちは、夜のサービス業に従事しているシングルマザーの子どもたちです。
その中にネグレクト傾向のお母さんがいて、ご飯を作らなかったりお風呂に入れなかったりしていて、その子どもは万引きなどの問題行動を繰り返していました。
「休校になって、この子はどうなるんだろう」と心配していました。
学校に給食を食べに行っているような状況だったので、休校で給食がなくなるとお腹が空きます。
学校がないという事は自分の居場所がないということなので、公園で火遊びをしたりお店にずっと1日中いたりして、結局警察沙汰になり、また盗みなどもして、児童相談所の一時保護になり、普通の養護施設ではなく問題行動のある子たちが入る矯正施設に入って、今は面会もできない状況です。
そういうお母さんたちの支援ってどうしたらいいんだろうと思うのですが、そのお母さんとはなかなかつながることができていません。
子育て支援としては学童保育を行っています。
ひとり親家庭の子どもたちと共働き家庭の子どもたちを預かっています。
年間250日以上ですので平日は毎日、放課後から夜7時まで預かっています。
ひとり親のお母さんは普段子育てに時間をかけられないため、私が代わりに宿題を見る、手作りのおやつをあげる、いろんなところに連れて行って、いろんな経験をさせたりしています。
地元のサンダーバーズという野球チームの選手に英語を教えてもらったりしています。写真左上、ひとり親家庭の子どもが中学生の時からずっと手伝いにきてくれていて、夏休みに科学実験をしてくれたり、みんなで電車に乗って出かけたり、手作りのおやつを作ったりしています。
3月から休校になってひとり親家庭に声かけして子どもたちを預かりました。
休校になってから朝から1日中ほぼ3カ月間預かっていたんですが、何をやろうか、どうやって1日を過ごそうかすごく悩みました。
子どもたちは外で遊びたいという欲求が強くて、1日中室内にいるとイライラが溜まるんですね。いろいろ体を動かすことを考え試行錯誤しましたが、なかなか体を動かせないのはとても辛かったです。
3カ月間、1時間目は国語で漢字の勉強、2時間目は算数、3時間目は段ボール遊びで図工、4時間目は読書、5時間目は体育…というふうにスケジュールを組んだりしていました。外に行くとなると1列に並んで公園に行くしかなかったんです。
私たちの「こどものいえ」の隣に古い小屋があって、大家さんに「この小屋を壊して子どもの庭にしていいですか」と聞いたら、大家さんが承諾をしてくれました。
ここを子どもたちの庭にしたいのですが、今は食品支援には助成金を出していただけますが、こういうところには助成金をいただけないので、こういったスペースを作る事に対しても、子どもたちの健やかな成長のためにも助成金をいただけたらなと思っています。