ひとり親家庭支援者養成講座 2日間でのべ約100人が参加

ひとり親家庭の支援に携わっている方、これから子ども食堂やボランティアなど「ひとり親家庭」の支援をしたいと考えている方々に向けて、しんぐるまざあず・ふぉーらむの「ひとり親家庭支援者養成講座」が、9月20日、21日オンライン形式で開催されました。
行政や民間の支援者が、さまざまな生きづらさを抱えるひとり親と子どもたちの状況を理解し、私たちに支援できることは何なのかを学ぶ講座です。昨年までの「サポーター養成講座」を改称しました。母子支援施設の職員、女性相談員ら、のべ約100人が参加しました。

支援の現場で活躍する講師や当事者のお話を伺って最新の知識を得て「ひとり親の現状」について理解を深めるほか、参加者同士がワークショップなどを通してディスカッションし、支援者間のつながりを作ることを目標にしています。

1日目は最大61人が参加。

NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの小森雅子理事長が「ひとり親家庭の現状と支援」について説明しました。

これからのひとり親支援について「社会課題の解決がひとり親の困難を解消する」との仮説をたてて検討。「少子社会と子育て負担の増大」「正社員の長時間労働と女性の排除」「家庭内労働のジェンダー間の偏り」「格差の拡大、貧困層が厚くなった」など現代社会の困難はひとり親の困難と直結しています。これからの支援では、「子育て世帯への支援」「子ども支援」「働き方改革」「ジェンダーギャップの解消」「社会階層・経済的格差の緩和」を柱に据えることが重要と述べました。また、当事者への支援で大切にしていることとして「人権と尊厳」を挙げ、「つらくても自己責任」から転換し、支援を受ける力こそ大切と伝えるようにしていると話しました。

ファイナンシャルプランナーで社会福祉士の清水香さんのお話は、「子どもにかかるお金」と「少し先を見据えて家計を見つめ直す」の2題。大学等への進学前後に多くのお金がかかる「19歳の崖」を乗り越えるためには、お金の面でどのような戦略を立てて臨むべきかをわかりやすく解説いただきました。児童手当と任意の積み立てで子どもが18歳までに300万円以上貯められるとし、併せて返済不要の給付型奨学金について早朝からの情報収集を行うことを提案しました。また子どもが独立した後の暮らしがより長くなっていることを踏まえ、保険をはじめとした家計の見直しや、より長く働くことで、将来の年金額を増やすことが大切というお話は、支援者にも参考になりました。

しんぐるまざあず・ふぉーらむの相談員も務める丸山裕代さんは「ひとり親の心理的ストレスとその支援」について話しました。

無業母子世帯の約半数がうつ状態にあります。また、離婚時のDVによりPTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えているシングルマザーも少なくありません。そのため、相談員はその人の問題に焦点をあてるのではなく、今ある問題がその人の過去のどのようなトラウマ体験から来ているのかに焦点をあてる「トラウマインフォームドケア」の手法をとる必要がある、といいます。その六つの原則は、安全性、信頼性と透明性、ピアサポート、協働と公正さ、エンパワーメント、謙虚さと対応性と理解。支援者は自分の価値観を押しつけたり、ジャッジしたりせず、まずは話を受容してみるよう勧めました。また、支援者自身がセルフケアすることの大切さについても、支援者の相談窓口とともに紹介しました。

2日目は最大40人が参加。

弁護士で社会福祉士の馬場望さんが「日本のひとり親に関する法律手続」について話しました。

離婚後は単独親権とする現行法が昨年改正され、2026年5月までに父母の合意があれば共同親権が選択できるようになりました。ただし、法改正では親権者を定める場合の考慮事項として、「子の心身に害悪を及ぼすおそれがあるとき」「父母が共同して親権を行うことが困難であるとき」には単独親権とすると定められています。また、養育費や親子交流についても変更がありました。

馬場さんは離婚手続きのフローに沿って改正点を解説。別居親との面会交流で子どもの意思を尊重するとはどういうことか、「子どものため」の面会交流を実現するにはどうしたらいいかを話しました。

午後は4人ずつのグループに分かれてワークショップを行いました。現在の所属や年齢、性別が異なる人たちとグループを組み、シングルマザーの相談事例について検討。その後、相談者、支援者、観察役を割り振ってロールプレイを行いました。最後に全員でもういちど事例を検討しました。参加者はそれぞれ、異なる価値観やバックグラウンドを持つ人たちのロールプレイやディスカッションから、大きな学びを得たようでした。

参加された方の感想です。

【小森講師へ】

ひとり親を取り巻く状況が再確認できました。ひとり親の困難の説明にあった、「大事なのは、女性の社会進出より男性の家庭進出」や「ひとり親になる前から貧困」には思わず頷いてしまいましたが、近年可視化されているジェンダーロールや格差等、根深すぎる複合的な問題に対し、相談員・支援員の皆様のご苦労が慮られます。

【清水講師へ】

10年前に離婚シングルになりましたが、その時に知りたかった!子どもが3人おりいずれも学生だったのと、私も就労訓練のため収入を得ることが困難だったので、常に漠然とした不安のなか生活していました。経済的なことは大きな不安と負担になり、心身の健康面にダイレクトに影響します。離婚を考えたときに、生活設計としてお金のことを学べる機会がもっと増えたらいいなと思います。

【丸山講師へ】

精神的に大混乱の状態で相談がスタートすることも少なくはないので、改めて支援者側としての向き合い方を見直す機会になりました。

自分自身のケアは後回しにしがちなので、もう少し休みの日は自分を甘やかそうと思います。

【馬場講師へ】

正しい知識を学ぶことの大切さを痛感しました。特に法律に関しては、社会の動きに合わせてどんどん変化していくために、最新の情報を入手することも重要です。身近に離婚を考えている友人もおり、正しい情報を伝えられるよう、私自身も学びを深めたいと思います。 オンラインではありましたが、参加者は熱心に聞き入って、質問もたくさん出る活気のある講座となりました。参加されたみなさん、おつかれさまでした。