続く米高騰で親子に広がる欠食 2025冬ひとり親家庭就労生活調査報告会
物価高騰がひとり親と子どもたちの暮らしにどんな影響を与えているのでしょうか?
しんぐるまざあず・ふぉーらむはコロナ禍中の2022年から毎年冬にひとり親家庭就労生活調査を実施しています。2025年の調査結果がまとまり、12月15日に厚生労働記者クラブで記者会見を開きました。
今年はひとり親家庭サポート団体全国協議会(JSPF)の参加団体にもご協力いただきました。2,096人から回答がありました。
暮らし編
1カ月の食費が「4万円以上」の家庭の占める割合は2023年が33.7%、2024年が39.9%、2025年が43.1%と、物価高騰のあおりを受けて食費が上振れしていることがわかりました。
昨年と比べ「食費が負担に思う」は98%でした。
欠食の状況について聞きました。
親の食事回数は「1食」16%、「2食」44%、子の食事回数は「1食」2%、「2食」26%。

子どもの数と月の食費をクロス集計した結果、子ども1人世帯の14.9%、子ども2人世帯の25.1%が「1食100円」前後に食費を抑えていることがわかりました。現実に1食100円では食品が買えないので、その分、食事を抜いているのではと伺えます。
1カ月のお米代が1万円未満という家庭は60.5%。消費統計などによると一般世帯の米消費量は1人平均4600g=約4000円です。1万円未満と答えた「子2人世帯の59%」、「子3人世帯の38%」は、平均消費量に見合わないお米しか購入できていません。
お米が買えない時の食事について自由記述から、キーワードを抽出しました。

水光熱費や学校納付金の滞納がある家庭は32%、食料支援を受けている家庭は64%でした。
子どもについて気がかりなことでは「不登校」が16%、「学校への行き渋り」が25%に見られました。文部科学省の調査では2024年の不登校率は小学校2.3%、中学校6.8%。ひとり親世帯の不登校率は一貫して高い傾向にあります。
年末年始の費用が捻出できそうかを聞きました。
「全くできない」「あまりできない」の合計は、クリスマスが59%、お正月が68%、子どもへのお年玉が62%でした。

経済的な事情で買えなかったものは「新しい洋服・靴」55%、「文具や学用品」28%、「問題集や参考書」35%、「必要なスマートフォンやパソコン」44%。
経済的な事情で子どもにしてあげられなかったことは「誕生日を祝う」24%、「部活動の費用を払う」14%、「修学旅行や学校行事」6%、「おこづかいをあげる」50%でした。
しごと編
10月中に収入を伴う仕事をした人は87%、2つ以上の仕事をした人は昨年より2%増えて17%。雇用形態は正社員39%、パート35%、契約社員・派遣社員が各6%、アルバイト5%、過半数が非正規でした。
10月の就労収入は20万円未満が77%を占めました。

仕事の制約になっているものは「子どもの病気、心身の不調」が50%、「自身の病気、心身の不調が」が48%でした。
2つ以上の仕事をしている人にその内容を聞いたところ(複数回答)、タイミーやメルカリハロなどで申し込む「単発バイト」が72人にのぼりました。次いで「飲食店」(41人)、「在宅ワーク」(38人)、「接客業(バー、ラウンジなど)」19人、「清掃」18人など。
年収の壁を意識して就労を抑制したことがある人が30%いました。内訳は所得税非課税(年収160万円)が37%、児童扶養手当全部支給(年収190万円)が19%、住民税非課税(年収204万円〜)が20%、高等教育無償化上限額(年収270万円)が9%、児童扶養手当一部支給(年収385万円)が13%でした。

記者会見では小森雅子理事長がしんぐるまざあず・ふぉーらむからの提言を読み上げました。
- 児童扶養手当の所得制限ラインの引き上げ、支給金額の引き上げが必要です。
- 国はひとり親世帯をはじめ、低所得世帯の親と子の健康状態、成長曲線について大規模な調査を行い早急に結果を明示し、改善策を講じること
- 国は自治体と連携し、低所得世帯の生活改善のために物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を適切に利用するためのモデルケースを調査、推奨すること
JSPFの赤石千衣子理事長は、11月の韓国視察の結果も踏まえ、「韓国では貧困率は同じように高いが、食べられない親子がいるという状況は許されない。ひとり親家庭への手当額は中位所得の63%と決まっているときいた。日本では児童扶養手当の所得制限が予算の状況や政治的状況で左右される。所得制限と手当額の基準を作ることが求められる」とコメントしました。
また、立教大学コミュニティ福祉学部の湯澤直美教授もオンラインで会見に出席し、「ひとり親世帯へのセーフティネットが機能していない状況は改善が必要だ」と話しました。
「就労しているシングルマザーでも、半分が自分自身の病気や心身の不調を抱えている。貧困は避けることができるはずの健康被害を生み出している。子どもの発達や学習機会の保障にも影響を与える。包括的な対策をしていかなければなりません」
<2025冬ひとり親家庭就労生活調査>
目的:物価高騰の影響を受けるひとり親家庭の就労と生活状況を調査し、必要な公的・民間支援について明らかにする。
時期:2024年11月22日〜11月30日
対象:20歳以下の子どもを持つひとり親
方法:Googleフォームを使用したWEB調査
有効回答数:2,096
回答者の年齢:20代(2%)、30代(26%)、40代(52%)、50代(20%)
同居する子どもの数:1人(47%)、2人(35%)、3人(13%)
