養育費・面会交流
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Q.父親との面会交流をしたほうがいいですか
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A.裁判所は原則面会交流実施を勧めます
子どもが離婚によって一方の親と暮らすようになった場合、別れて暮らす親と会うことや、手紙などやりとりすることを面会交流と言っています。子どもが双方の親と交流することは、子どもの利益を考えて行動できる親同士が協力しあえればよいことです。
子どもにとっては、(例外はありますが)どちらも大切な親だからです。
離婚には理由がありますから、母親も感情的になって「あんな父親には会わせなくない」と思っていても、子どもがそうであるとは限らないものです。
面会交流の現状
父親側が会わせろと言ってきても、様々な事情で現実には面会交流について悩んでいる母親が多いのが実情です。
法律上の規定を見ると、2012年の民法改正では、協議離婚においても養育費や面会交流について子の利益を優先して協議して定めることとなりました。その後の家庭裁判所の動向をみると、面会交流は原則として実施すべきという方向性が顕著になったと多くの人が感じています。
面会交流を原則として実施すべきという運用には、もちろん例外もあります。例外として面会交流を禁止・制限すべき事情として考慮されるのは、子どもの連れ去りの恐れ、子への虐待の恐れ、監護親に対する暴力、子の拒絶の意思、再婚などが挙げられています。
調停は話し合いの手続きですので、面会について双方がどのように考えるか、どのように調整できるかがポイントになります。そのためには、相手方が納得できるような条件や言い方を工夫するなどして、なるべく合意に向けて努力する必要があるでしょう。
お互いの話だけでは合意が進まない場合は、調査官が調査をします。調査官は当事者の言い分を聞き取り、家庭訪問や学校訪問をしたりして子どもの生活実態や意思を把握しようとし、面会交流を妨げている事情についてできる限りの調査をします。そうした調査報告書を前提にして当事者は調停をすすめ、それでも当事者間で合意できなかったら、審判手続きに移行します。
審判では、裁判と同じように、面会交流をすべきかどうか、どのような方法を取るべきかについて裁判所が決定します。その際には、調査報告書や、当事者の主張や証拠を精査することになります。そのため、面会交流をすべきだ、とか、すべきでないと考える当事者は、そうした事情を立証する必要があります。お子さんが会いたくないと言っている、というだけではなかなか認められないのが現状です。
弁護士に相談
そのためには証拠が必要となります。どういうものが証拠になるかは、弁護士などに相談してください。
これまでのご相談の中では、児童精神科医の意見書などを書いてもらって会わせられないと判断された事例もありました。
面会交流についての調停や審判は、一度決まると離婚後も子が成人するまで効力が続くので、安易に妥協せず、弁護士などに相談しながら慎重に進めてください。実現できないような合意はしないようにしましょう。
また、面会交流を実施する際に当事者だけで日程の連絡や子どもの受け渡しがうまくいかないようなケースでは、家庭問題情報センター(FPIC)などの民間団体を第三者機関として利用することを調停に盛り込むこともできます。