しんぐるまざあず・ふぉーらむ

オピニオン

被災に関連する母子家庭の施策に関する提言・要望

厚生労働省児童家庭局家庭福祉課長 様
岩手県児童家庭課長 様

NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ/
NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福島

連絡先 東京都千代田区神田神保町2-28日下ビル4階

甚大な被害をもたらした東日本大震災の復旧・復興に日夜ご努力を重ねていただきありがとうございます。
当団体では、4月より、東京および福島を中心に被災した母子家庭および女性たちのホットラインや支援を行っています。災害において、特に大きな影響を被るのは、普段から多くの悩みを抱え経済的にも脆弱な母子家庭・父子家庭と子どもたちです。私たちは、8月21日~23日、岩手県内の被災地をまわり、母子家庭・父子家庭の状況について関係者にヒアリングを行いました。この結果とこれまでの支援活動を踏まえ、下記のとおり要望いたします。

1, 児童扶養手当の災害等に係る所得制限の特例措置について

児童扶養手当法第12条には、児童扶養手当の災害等にかかる所得制限の特例措置があります(災害により住宅・家財等の財産について、その価格のおおむね2分の1以上の損害を受けた場合に、その損害を受けた月から翌年の7月までの手当については、所得による支給制限を適用しないというもの)。しかしながら、第12条の第2項において、当該災害を受けた年の所得が、所得制限の額以上であった場合には、特例として支給された手当の一部または全部を返還しなければならないとされています。
いったん全部支給となっても、あとで返還請求の対象となる可能性があるとなれば、被災母子家庭は、せっかく支給された手当を費消することをためらい、生活再建を遅らせます。この特例措置の説明を受けた母子家庭は、翌年に返還請求を受ける可能性があることを窓口で知らされると、特例措置の申請をためらい、自治体もこの特例措置をどこまで周知・推進していくべきか、とまどっていることがわかりました。翌年に自治体が行う調査や返還請求も煩雑であり、被災自治体の事務仕事を増すだけと思われます。
東日本大震災による災害においては、第12条の第2項の適用を凍結し、損害を受けた月から翌年の7月までの手当については、返還請求のない全部支給を被災者に適用していただきたく要望します。
なお、この特例措置の申請(適用)がこれまでに何ケースあったのか、岩手県および厚生労働省は、把握されておられますでしょうか。各自治体ごとの受給資格者数とこの特例措置の申請者数(適用者数)を教えてください。

2,現況届を通した実態把握

児童扶養手当の現況届の時期を迎え、受給資格者であるひとり親家庭の状況把握が進んでいると思います。被災地域で住居を失っり、仕事を失ったりした結果、移住したひとり親家庭、住民票を移さないが一時的に避難して他の市町村に居住しているひとり親家庭も多いと思われます。被災地で活動している支援者へのヒアリングでは、仕事をしている母子家庭は昼間いないので訪問しても会えない、仕事がないと生活できないため仕事のある地域に移住した(地域から母子家庭が消えた)という話も聞かれました。被災地における児童扶養手当の現況届の結果から、どのような生活実態が把握できたのでしょうか。被災地のひとり親の状況を把握し、生活課題の改善にむけてに緊急に取り組んでいただくよう、要望します。
私たちは、当事者団体として、被災地のひとり親家庭の支援に動く準備があります。岩手県および厚生労働省が、現況届を通したひとり親家庭の実態をまとめ、公表してくだされば、私たちも実態に沿った支援ができると思います。今後の連携や協力を希望します。

3,母子自立支援員の訪問支援を

被災地で、個別に母子家庭の支援を行えるのは、母子自立支援員であると思われます。しかしながら、これまでも多くの自治体では母子自立支援員は母子福祉資金の貸付・返還業務がほとんどで、それ以外の業務がなかなか行われていないという現状がありました。
しかし被災地では、本来の母子家庭・父子家庭の状況の把握と、支援制度の周知徹底、制度活用や個別の事情に応じたパーソナルサポートなど、本来の業務を行うことが求められていると思います。連絡の取れない母子家庭を含め、訪問支援に力を入れるような指導を、国・県としてお願いしたいと思います。

4,母子家庭等就業・自立支援センターの活用

被災地では、生命・財産・住宅等にかかわる直接の被災がなくても、職場を失った母子家庭の母が多数います。就労支援として、母子家庭等・就業自立支援センターがその役割を発揮すべきと思われます。センターの所在地と被災地が離れている場合にも、出張相談や電話相談はできるでしょうし、仕事を求めて被災地からセンター所在地に移住してきた母子家庭の支援には、就労支援以外でも生活情報の提供など、大きな力が発揮できるはずです。被災地の母子家庭等就業・自立支援センターには、ぜひ被災した母子家庭の支援に
動いていただきたく、県として、国として、運用方法の改善とご指導をお願いします。

5,自動車運転免許の取得支援を

東日本大震災の被災地では生活する上で自動車運転免許が必須となっています。仕事をするうえでの通勤はもとより、保育園への送迎、日用品の買い物など、すべて車が必要です。車がなければ行動範囲が狭くなり、就労先の選択肢は極めて限られます。被災地のハローワークでも、免許さえあれば紹介できる求人が格段に広がるのに、車の免許がないために紹介できない、就職先を見つけてあげらないケースがある、という話を聞きました。
生活保護制度では、高校卒業予定者や自動車運転免許が雇用や採用の条件となっている場合などは、技能習得費として、自動車運転免許の取得費用の支給が認められています。
このお金は、一生使用することのできる技能を身につけてあげられる人的投資であり、自動車学校という地域企業を通して地域経済に還元されるお金です。東日本大震災の被災地における就労自立・生活再建には、自動車運転免許の取得が不可欠であり、生活保護制度を利用していなくても、この制度を準用するなどして、自動車運転免許の取得支援を被災者の就労支援のひとつとして特別に行っていただけるよう要望します。

6、パーソナル・サポートの充実を

住居を失った、家族を失った、等々、直接の被災者の生活困難は言うまでもありませんが、直接被災しなくても、職を失った、家賃や物価が高騰した、今までの子育て支援が得られなくなった、相談したり援助してくれていた友人や近隣の人が亡くなったなど、さまざまな間接的な影響を被っている母子家庭がおられます。また、仕事を失った人だけでなく、震災復興で仕事が忙しくなり残業時間が増えた、身体的・精神的なストレスが増えた、子どもと一緒にいる時間が減ったなど、複雑な悩みを抱えている人もいます。あるいは、弔慰金や保険金など普段は手にしない大金を手にして、周囲が心配になるようなお金の使い方をするケースや、お金を手にした人と手にしなかった人とのトラブルや人間関係の亀裂など、被災者が抱える課題は複合的です。その人の暮らしに寄り添ったきめ細かな支援や対策が必要であり、パーソナル・サポート体制の普及と充実を求めます。
制度面としては、保育所や学童保育の臨時の対応(休日保育の充実)、市役所などの臨時職への雇用、さまざまな生活費を支給する職業訓練の機会の提供と周知徹底(ハローワークにも児童家庭課サイドの就業支援情報を通知するなど)を望みます。


投稿日:2011年9月12日

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