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非婚の母「寡婦控除適用外は不公平」 人権救済申し立て 日弁連が調査

[ 西日本新聞 ] 2010年9月16日掲載

 ■「みなし」採用の自治体も

 法律上の結婚をしないで子どもを生んだ「非婚」のシングルマザー。同じ母子家庭ではあるが、夫と離婚や死別した場合に税制上優遇される「寡婦控除」の対象外とされてきた。これを不当として昨年11月、3人の当事者が日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。現在、国に勧告すべきか、日弁連が調査を続けている。問題点を整理した。

 厚生労働省の2006年調査によると、母子家庭は全国で約152万世帯。そのうち非婚は約10万で、この20年ほどで3倍以上に増えている。

 昨年11月に申し立てをしたのは、東京都と沖縄県在住の3人。申立人の1人、大学非常勤講師の山本昭代さん(49)=東京都=は中学生の子と2人で暮らす。08年度は寡婦控除が適用される場合に比べ、所得税、特別区民税・都民税、国民健康保険料で合わせて約11万円多く支払ったという。「(離婚や死別と)同じ母子家庭なのになぜ、と不公平感が強かった。誰かが声をあげなくてはと思った」と申し立ての経緯を語る。

 山本さんは08年にインターネット上でブログ「非婚シングルマザーにも寡婦控除を!」を開設。コメント欄には、同じ立場の母親たちから窮状を訴える声が届いた。特に「保育料が高額になる」という悩みが目立った。

 というのも、保育料や公営住宅の家賃などは収入に応じて算定される。寡婦控除が適用されず、収入が高く見積もられる非婚の場合、負担が大きくなる。別の申立人は、公営住宅の年収制限を超えたとして立ち退きを余儀なくされたという。派生的な影響も見逃せない。

 この問題について、岡山市や千葉市は、保育料や学童保育の利用料などを、寡婦控除が適用されたものとして算定する「みなし寡婦控除」を採用。1997年に導入した岡山市は「非婚でも、離婚や死別でも、母子家庭という状況は同じなので一律にしている」(保育課)と説明する。

 制度上の区別は、結婚観や家族観とも相まって、非婚を許容しにくい社会の一因にもなっている。山本さんは「出産前後は女性が最も援助を必要とする時期なのに、子どもの父親がいないことで、さらに家族からも社会からも疎外されてしまう」と話し、パートナーがいる場合とは異なる育児支援の必要性を訴える。

 母子世帯の交流会などを開くNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福岡」の大戸はるみ理事長は「例えば、離婚家庭で養育費が課題に挙がる一方、非婚では認知が大きな問題になることがある。父親の存在を子どもにどう伝えるかでも両者に意識の差があるなど、問題を共有しにくい側面もある」と指摘する。

 ただ、経済的に苦しい状況は共通するという。一般世帯を100とした場合の母子世帯の平均収入は37・8(2005年)。大戸理事長は「非婚、離婚にかかわらず、母子世帯の就職や就労環境は、依然として厳しい状態が続いている」と話している。

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 ■ワードBOX=寡婦控除

 夫と死別した後に再婚していない人、離婚した後に再婚せず子どもなどの家族を扶養している人が対象。所得税は27万円、住民税は26万円が控除される。収入が500万円以下で扶養する子がいる「特別の寡婦」の場合は、それぞれ35万円と30万円。経済的な柱だった夫を戦争で亡くした人を想定し、1951年に設けられた制度。

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=2010/09/16付 西日本新聞朝刊=


投稿日:2010年9月17日

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